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【補助金採択事例紹介②】飲食・美容業から宿泊業へ―補助金活用で挑む複合施設の展開
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【補助金採択事例紹介②】飲食・美容業から宿泊業へ―補助金活用で挑む複合施設の展開

【採択事例紹介②】飲食・美容業から宿泊業へ―補助金活用で挑む複合施設の展開

コロナ禍で売上が急減し、既存事業の継続が困難となった企業が、新たな分野に挑戦し再出発する事例が全国で増えています。今回は、飲食業と美容業を営んできた企業が

「宿泊×レストラン×サウナ」を組み合わせた複合施設に挑戦し、事業再構築補助金に採択された事例をご紹介します。


既存事業の課題とコロナ禍の影響

こちらの企業は、都市部でアジア料理を中心とした飲食店と、予約制のプライベートサロンを運営してきました。料理は代表が世界各地で出会ったエスニック料理をベースにアレンジを加えた独自スタイル。クラフトビールなどドリンクにもこだわりがあり、常連客を中心に人気を集めていました。美容室も「旅」をテーマにした落ち着いた空間を提供し、安定したリピーターを抱えていました。

しかし、新型コロナウイルスの流行で外食需要は急減。2020年以降、売上は大幅に落ち込みました。飲食業・美容業はいずれも「対面接客」が必須の業種であるため、コロナ禍では最も打撃を受けやすい分野でした。スタッフ不足や仕入価格の高騰といった経営環境の悪化も重なり、従来のままでは回復が難しい状況に直面しました。


新規事業への挑戦 ― 複合型宿泊施設の展開

こうした危機を乗り越えるために立ち上げたのが、新規事業「宿泊×レストラン×サウナ」を組み合わせた複合施設の展開です。

1. 宿泊施設

観光地にある元旅館を購入し、改修を行って宿泊施設として運営。個室の客室を整備し、ファミリーや学生、ビジネス層、さらにはインバウンド客まで幅広く対応できる施設を目指しました。

2. レストラン

施設の1階に飲食スペースを設置。地元食材を活かした料理を提供し、観光客だけでなく地域住民の利用も想定しています。夜営業を行うことで、周辺に少ない「夜まで食事ができる場所」としての役割も果たします。

3. サウナ

全国的な「サウナブーム」を背景に、施設裏の建物を改装しサウナを導入。宿泊客はもちろん、日帰り利用客にも開放し、新たな集客の柱としています。心身のリフレッシュや健康効果が注目されるサウナは、観光地に訪れる動機にもなり得る要素です。

4. 小売スペース

さらに、地域住民や観光客が利用できる小売スペースも設置。特産品や日用品を扱うことで、宿泊客の利便性を高めるとともに、地域経済への貢献も視野に入れています。


地域資源を活かした差別化戦略

同社の新規事業の特徴は「地域資源との融合」です。

  • 世界遺産の観光地に近接している立地を活かし、観光客向けの宿泊需要を取り込む

  • 地元の食材を活かした料理を提供し、地域の食文化を発信

  • 他の宿泊施設にはない「サウナ」と「小売スペース」で差別化

周辺の宿泊施設は旅館や民宿が中心であり、レストランやサウナを備えた複合型施設は希少です。

これにより、他施設との差別化が可能となり、選ばれる理由を明確に打ち出すことができます。


事業再構築補助金で採択された理由

この計画が採択に至った背景には、次のようなポイントがあります。

  1. 新分野への明確な転換
    飲食・美容業から宿泊業への事業転換という、大きな構造変化を伴う計画であった点。

  2. 市場性と将来性
    世界遺産観光地という強力な観光資源を背景に、アフターコロナでの需要回復を的確に見込んでいる点。

  3. 差別化戦略の明確さ
    サウナや小売スペースを併設することで、周辺施設にない独自性を打ち出した点。

  4. 地域経済への波及効果
    地元食材の活用や雇用創出、観光振興など、地域社会への貢献が盛り込まれている点。


将来の展望と地域貢献

新施設のオープン後は、国内外の観光客やファミリー層をターゲットに安定した集客を目指します。宿泊・飲食・サウナという複合サービスを提供することで、一人当たりの滞在価値を高め、リピーター獲得にもつなげます。

また、将来的には地域で廃業予定の宿泊施設の運営代行にも取り組みたいとしています。これにより観光地全体の宿泊キャパシティを維持し、地域の雇用や観光基盤の強化にもつなげていく方針です。


まとめ

今回の事例は、コロナ禍で苦境に立たされた飲食・美容業者が、地域資源を活かした複合型宿泊施設へと大胆に事業転換を果たした取り組みです。

「宿泊×レストラン×サウナ」という新しい価値を提供することで、観光客のニーズを取り込み、同時に地域住民にも愛される施設を目指しています。

自社の強みや地域資源をどのように組み合わせて新しい事業モデルを描けるか――この事例はそのヒントを与えてくれる好例といえるでしょう。

事業再構築補助金の受付は終了しておりますが、「新事業進出補助金」などの新たな補助金も開始しております。