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【補助金採択事例紹介③】農業から小売・加工へ――補助金活用で挑む直売所と加工食品の展開
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【補助金採択事例紹介③】農業から小売・加工へ――補助金活用で挑む直売所と加工食品の展開

【採択事例紹介③】農業から小売・加工販売へ―補助金活用で挑む直売所と加工食品の展開

新型コロナウイルスの影響は農業にも大きな影響を与えました。市場の需要減少や価格変動、物流の停滞などにより、多くの農家が売上減少を余儀なくされています。今回は、レモングラスや大根などを生産する農業法人が「直売所の開設」と「野菜を活用したスムージーや調理食品販売」に挑戦し、事業再構築補助金に採択された事例をご紹介します。


既存事業の状況と課題

この法人は2018年に設立。レモングラスなどのハーブや季節野菜を栽培し、地元市場への卸売りを中心に事業を展開してきました。また、自社工場での加工なども行い、6次産業化にも早くから取り組んできました。

しかし、卸売り中心の販売では市場手数料や運賃が経営を圧迫。加えてコロナ禍では飲食店向け需要が落ち込み、生産物の廃棄も余儀なくされるなど、大きな課題に直面しました。

特に「規格外野菜」が大量に発生することは、収益性だけでなく食品ロスの観点からも問題であり、解決すべきテーマでした。


新規事業への挑戦 ― 直売所と加工飲料・食品販売

そこで立ち上げたのが「直売所の開設」と「野菜を活用した飲料・調理食品の販売」です。

1. 野菜直売所の開設

新たに直売所を建設し、自社栽培の野菜や近隣農家の野菜を直接販売。卸売りに頼らず、顔の見える販売を行うことで、生産者と消費者をつなぐ拠点を目指しました。

直売所では販売手数料を低めに設定し、協力農家にとっても参加しやすい仕組みを整備。これにより、農家側の負担を軽減しつつ、多様な野菜を消費者に届けることが可能になります。

2. ICT活用による販促

直売所専用のLINE公式アカウントやInstagramを開設し、来店客や飲食店に向けて情報発信。新鮮な野菜の入荷情報や取り置き依頼にも対応できる仕組みを導入し、リピーター獲得と販売促進につなげています。

3. スムージー・コールドプレスジュースの販売

売れ残った野菜は、スムージーやコールドプレスジュースに加工して販売。
健康志向の高まりを背景に、野菜不足解消や美容・ダイエットを意識した商品として注目を集めています。

全国的にも大手コンビニがスムージーを展開していますが、同社は「直売所でできたてを提供する」点を強みに差別化を図っています。

4. 野菜を活用した調理食品の提供

さらに、直売所内に簡易的な調理設備を導入し、惣菜やスープ、サラダなど野菜を使った調理食品も販売。

  • 調理済みなので手軽に食べられる

  • 野菜不足を補いたい主婦層・ビジネスパーソンにも好評

  • スムージーやジュースと組み合わせた「健康志向の食提案」も実現

これにより、「野菜を買う場所」から「野菜を楽しむ食体験の場」へと進化しました。


地域資源を活かした直売所の役割

この直売所は単なる販売拠点にとどまりません。

  • 規格外野菜を含め幅広く活用し、食品ロス削減に貢献

  • 健康や美容に関心の高い顧客層に向けた商品ラインナップを展開

  • 地域農家との協力体制を強化し、農家にとって安定した販路を確保

また、直売所の隣には美容サロンの移転開業も予定されており、同じく「健康・美容」を意識する主婦層の利用が見込まれています。野菜・スムージー・惣菜を組み合わせた提供は、地域住民の生活に新しい選択肢を生み出しています。


事業再構築補助金で採択された理由

この計画が採択に至った理由は、次のように整理できます。

  1. 新分野展開の明確さ
    卸売中心から小売・加工・調理食品へと事業を拡張し、収益構造を転換した点。

  2. 食品ロス削減と健康志向の両立
    規格外野菜の活用やスムージー・惣菜提供によるSDGsへの寄与が評価された点。

  3. 地域経済への波及効果
    農家の負担を軽減しつつ、消費者に新鮮な商品を提供し、地域の農業全体を活性化した点。

  4. ICT活用による販促力強化
    SNSやLINEを活用し、地域顧客と直接つながる仕組みを構築した点。


将来の展望

新しい直売所は、今後の地域農業における「顔の見える販売拠点」としての役割が期待されています。さらに、スムージーや調理食品の拡充により「野菜を使った健康的な食生活の提案」が可能となり、直売所の魅力を高めています。

将来的には、協力農家の数をさらに増やし、地域の農業資源を活かした多彩な商品展開を行う計画です。また、健康や美容をテーマとしたイベントやコラボ企画も検討しており、地域住民に親しまれる直売所を目指しています。


まとめ

今回の事例は、農業法人が「卸売依存からの脱却」を果たし、「直売所」「スムージー・ジュース」「調理食品」という三本柱で事業再構築に成功した取り組みです。

事業再構築補助金を活用することで、

  • 課題解決(市場依存・食品ロス)

  • 新しい需要の取り込み(健康志向・即食需要)

  • 地域との連携(農家支援・地産地消)

を同時に実現しました。

農業に限らず、他業種にとっても「自社の強みを活かし、補助金で新たな収益源を構築する」ことの重要性を示す事例といえるでしょう。

事業再構築補助金の受付は終了しておりますが、「新事業進出補助金」などの新たな補助金も開始しております。

補助金の活用を検討されている方はお問合せください!